佛跳牆
こんにちは。大ネタだから更新を本誌と合わせろと言われたのでします。画像が撮影分で500枚、アプしたのが250枚くらいあって、そんなもん皆さんもよみたくないだろう。100枚くらいにしたいです。
2話掲載のうち1本は米の水加減についてというプリミティブな話です。尺が足りなかったのです。そしてうちのハカリが先日ぶっこわれて資料写真を撮れないので、この謎の図と本誌を読んでください。とにかく水の量を正確に測りたいという気持ちについてです。
米の話おわり(そのうち書く)
あと今度クズとしてテレビで2週連続放映されます。
で、佛跳牆ですが細かいことはWikipediaを読んで下さい。読まなくてもいいです。どうせこれから作る様子を見れば狂った料理だということがわかります。我々は主に美味しんぼで佛跳牆というものの存在を知ったわけですが、ネタ本だろうなというのがありこれです。あの時の美味しんぼのハクビシンの絵この写真のトレスじゃねーかみたいなのが載ってて楽しいです。それはいいとして話は少し過去に遡ります。
巨大寸胴鍋欲しい
— 小林銅蟲 (@doom_k) 2017年1月23日
この結果、人から巨大寸胴鍋が贈呈されました。
巨大寸胴鍋で煮物作ろうとして途方にくれた時の様子です pic.twitter.com/cV5wbHtx6G
— 小林銅蟲 (@doom_k) 2017年2月3日
こんなヨタ話してたら終わるエントリも終わらないので加速します。つまりデカい蒸し物が可能になりましたので、「デカい蒸し物 = 佛跳牆」という何の疑問もない導きが得られます。また料理漫画史において佛跳牆は登場はすれど、自作した事例は知っている限りでほぼ存在せず、美味しんぼの超佛跳牆(恐らく取材段階で制作したと思われる)くらいです。あったらごめん。とにかく、作れるならやるという気持ちのもと、プロジェクトがあれしました。なおぶっちゃけ巨大寸胴鍋で蒸さなくともAnovaで80℃オーバーで突っ張れば作れますがロマンとはそういうことではない。
佛跳牆の難しさとはなにか。「スープと具を壺に入れて壺ごと8時間蒸す」という発狂したレシピもさることながら具が高級珍品のオンパレードで、ちょっとしたインターネットコンテンツに仕立てるには経費がかかりすぎるという問題があります。ごめんもうちょっとしゃべる。大変なので自作できそうな具を野食クルー3名召喚により解決しました。あと愚弟。件のネタ本の通りのレシピだとスープというより蒸し煮なのでそれは欲しいイメージと少し違うなというか、インターネット体験談には蒸し煮佛跳牆あんまり旨くないやんけというものも存在するため、蒸し煮方向はやばかろうという判断のもとスープ狙いに舵を取ることになりました。
さすがにぶっつけ本番はリスキーなので練習と本番の2回やりました。2回もメンツに集まってもらったわけで、この人的コストも大変。困った遊びです。で、練習の様子もガッツリ記録しているわけですが基本的には本番と同じことをやっており冗長なので大胆に編集します。画像が多すぎる。では本番に至る流れをどうぞ。
概念を説明します。これは梅酒とかを作る瓶をザルに乗せているところです。なんですか?
お湯の液面の高さを確保しつつ全体を鍋に入れて蒸すことができるか試したのでした。これは練習の5リットル瓶ですが本番は8リットル瓶です。
練習の出来事ですが鶏ガラだと思って買ったら手羽先でした
しるか
水、手羽先、鶏挽肉、豚挽肉、生姜、ねぎの青い部分を2時間静かに煮てスープをとります
とれた
これは練習で消費されました
本番にむけて、このガラで二番スープをとります
ウオー
とれた
これは合鴨です。よくわかんないけど日進ワールドデリカに売ってました
それはどうか
まあいいや
一緒に鶏ガラも買いました
おそうじ
二番スープに鶏ガラを入れました
合鴨の背中と腹がどっちかわかんなくなって切ったら二択を外した様子です
その後、やっていけました
あとで取り出しやすいようにまとめていきます
我々にはほどよく大きな寸胴鍋が足りない
それでもがんばって煮ます。合鴨は後日煮付けにしたらうまかった
ダブルスープです
これは鶏挽肉と牛挽肉とねぎと生姜と卵白を粉砕したり混ぜたりしたものです
二番スープに合鴨と鶏ガラを入れてとったダブルスープに上のものを入れて更にスープをとります
はい
はい
卵白が仕事をして透明な上澄みがとれます
底のほうからは邪悪な濁り方をしたスープがとれます
この違いなんだろうね
濁ったのは卵白でもっぺん綺麗にしてみます
少しマシになったし、固まった卵白が異常に旨くなったというおまけ付き
すでに何時間スープやってたんだかわからない状態ですが、ようやく具が登場します。
かっこいいので
野食クルーによるDIYプロダクトから列挙していきます。サンショウウオ、朝鮮人参(苦いとかで少量)
干しシイタケ
干しタケノコ。戻し汁がうっすら甘い。
干しホンビノス貝のワタ以外。練習でワタごと入れたらエグ味が出たのこれでは、という仮説のもとワタを除去。
干しマツバガイ
干しダコ。いい色が出る
干しナマコ(漁業権のある場所で捕ると逮捕が発生するので注意しましょう)
干しアミガサタケ。日進ワールドデリカで100g3万で売っていたような、、(そこら辺に生えている)
クコ
アイザメのフカヒレ
こっちはカスザメだった
ウコッケイ フット&ヘッド
以下、DIYムリなので購入したチーム。干しホタテ貝柱(高い)
干しアワビ小サイズ 1個900円
900円です。なおでかいのを買うと即死します
戻すと、このような
甘味も入った方がいいんじゃないかとかで購入した干しナツメと干し龍眼
練習では小さい市販フカヒレも入れたんだけど、これから味が出るわけでもなくコストが高いので本番のフカヒレ購入は見送りです。魚の浮袋も同様の理由でカット
代わりに大量の金華ハム(100g1000円ぐらい)。金華ハムから出てくる塩分が頼りなので重要です。スープと具以外に塩を加えたりはしないので。別に加えてもいいんですが。これや干しアワビは横浜中華街の食材店で購入しましたが、店主(速い)によると、中国がめっちゃバブってて金華ハム食いまくってるから日本には高いグレードのものは入って来ない、これが限界、的な話でした。いろいろ大変らしいです
脂を削るので実際に使う部分は減ります
あとなんかあったかな、思い出したら入れます。
では、まずアやナを底に敷いていきます
ただちに変態中華の風情が
入れていきます
そう、いろいろ、、
各種戻し汁も入れます。この量が結構あるのでスープを激烈に濃くとっておく必要があるというか、本番では具も含めて練習の3倍の濃さです
金華ハム、イン
モリモリ
いろいろです
これを蒸していきます
ラップを2重だか3重だかにしてタコ糸で縛ります
ゴー、ワッキー
ゴー
ウォーター
ゴー(蓋を完全に閉じると中がなんか100℃を超えて瓶の中身が沸騰するので、適宜調整します)
そんであとは待つだけなんですが、娯楽もなく火の番をしつつ待ち続けるのはわりと修行で、練習の際に全員で1冊の中華料理本を読みまくった結果、本番の待ち時間では伊府麺というの作ってみるかという話になりました。ざっくりいうと卵と小麦粉でできた麺を茹でて揚げて湯で戻して餡をかけて食うというインスタントラーメンというかかた焼きそばというか的なものです。
フムッ
家から持ってきた製麺機に頑張ってもらいましょう
即死
仕方ないので愚弟が手打ちします
完全に間に合わせのツール群、罰っぽい
はい
もう全員雑になっているので麺を細く切るわけがない
謎
一方、練習のだしガラで餡を作ります。うまい
ゆで
これは茹でたのを揚げたのを湯で洗っています。結論から言うと揚げたらうまくなくなった
それでもがんばった様子です。こんなに消耗するなら寝ていればよかった説もありますが、体験です。始発で厨房に入っても佛跳牆21時とかにできるので、基本死にます。
そうこうしているうちに完成しました。我々はラップでフタをするので、蒸しているうちに蒸発してどんどん濃くなるという現象が起きます。これは鍋から取り出しの際の事故を防ぐために一度ラップを外してフタを締め直しています。
開放された瞬間、音の出るような豪香が発生します。蒸す前はスープによる生姜とネギの香りが強いものですが、蒸し上がりはそれらがいっさい消滅して全く別の何か、佛跳牆としか言いようのないものになります。
様子
これが佛跳牆です
味はめちゃくちゃ濃いなにかです。強いてたとえるとXO醤とキノコとおでんとコンソメを混ぜたようなサムシングです。あと似ているというか方向性が近いものとして一条流がんこラーメン総本家が挙げられます。あのスープも入っているダシの種類や量がおかしい。一口ずつめっちゃ味わって飲まないと勿体ないので、そういうことをする結果、一杯で満腹になり疲れます。あと味の余韻がくそ長い。料理の性質上、味はいかようにも変わるので、これはこういうものだったということになります。つまり味をイメージ通りにバシッと決めたいのであればレシピの段階で何をどうするのかを逆算して決めておかないといけない難しい料理ということです。
見た目超豪華ですがスープに全部もっていかれダシガラと化しているので味的にはどうだろうという感じです。サンショウウオは後日ポンチャックマスターが食って、味を訊くのを忘れた。
ナマコは柔らかくなってすげーうまくなってました。皇帝です。
その後、さらにスープをとって残りの佛跳牆と混ぜて二番佛跳牆を取ろうとしたところ、スープが多すぎて味がボンヤリするなどの事故がありましたが、それは煮詰めてメキシカン忍者氏連載開始祝賀会においてなんか適当に仰々しいことを言って参加者に飲ませました。冷凍庫にまだ残りがあるのでそのうち何かしましょう。
この回のネームに詰まって屈折くんを読んでいたらまさに和嶋という佛が時空を跳び越え、かくのごとく来たのだった、佛とはなにか?という掴みどころのない余談もあります。
よかったですね。